卸先からの注文が、FAXと電話とメールに散らばっている。一般のお客さま向けにはShopifyで売っているけれど、卸の注文は今も手で受けている。そんな状態から「Shopifyで卸の注文も受けられないか」と調べている方に向けて書きました。
先に結論を書きます。Shopifyの Basic プラン以上なら、卸売の注文は標準の機能で受けられます。 ログインした取引先にだけ卸価格を見せる、ケース単位で注文させる、支払期限を付ける、といったことに追加の費用はかかりません。
プラン選びの分かれ目は、ほぼ一つです。価格表が何種類あるか。 3種類までなら Basic・Grow・Advanced で始められます。取引先1社ずつに違う単価を付けているなら、最上位の Shopify Plus か、別の仕組みが必要になります。
この記事の仕様と料金は、2026年10月28日にShopifyの公式ヘルプと料金ページで確認したものです。Shopifyの機能は変わることがあるので、決める前に公式の最新情報もあわせて見てください。
目次
卸売の機能が使えるプラン
ShopifyのB2B(卸売)機能は、次の4つのプランで使えます。
| プラン | 月額(月払い) | 月額(年払いの月換算) | 卸売機能 |
|---|---|---|---|
| Basic | 4,850円 | 3,650円 | 使える |
| Grow | 13,500円 | 10,100円 | 使える |
| Advanced | 58,500円 | 44,000円 | 使える |
| Shopify Plus | 368,000円〜 | — | 使える(制限なし) |
※ 2026年10月28日時点、Shopify公式の料金ページの表示。決済手数料・アプリ代は別。
いちばん安い Starter と、店舗レジ向けの Retail では使えません。Starter で一般販売をしている場合は、卸を始めるときにプランを上げることになります。
どのプランでもできること
まず、Basic から Plus まで共通でできることです。卸の現場の言葉に置き換えると、次のようになります。
| 卸の現場でやりたいこと | Shopifyの機能 |
|---|---|
| 取引先にだけ卸価格を見せたい | 取引先を「企業」として登録し、その担当者がログインしたときだけ卸価格を表示する |
| 本社と各店舗で、別々に注文や配送先を持たせたい | 企業の下に「拠点」をつくる。拠点ごとに担当者の権限も分けられる |
| ケース単位・最低ロットで注文してほしい | 商品ごとに最小数量・最大数量・注文の単位(6個ずつ、など)を決められる |
| たくさん買うほど単価を下げたい | 数量別の価格(100個以上はいくら、など)を設定できる |
| 掛け払いにしたい | 支払期限を付けられる。注文日から7・15・30・45・60・90日、または出荷後 |
| 注文をいったん確認してから確定したい | 注文を「下書き」として受け、内容や価格を調整してから確定し、請求書を送れる |
| いつもの注文を簡単に繰り返してほしい | 過去の注文からまとめて再注文できる |
| 取引先の発注番号を控えたい | 注文に発注番号(PO番号)を入れてもらえる |
| 色・サイズ違いをまとめて注文してほしい | 商品ページの一覧から、色・サイズ違いを数量を入れてまとめてカートに入れられる |
| 新しい取引先から申し込みを受けたい | ストア上の申請フォームから、卸の利用を申し込んでもらえる |
| 営業担当者に自分の担当先だけを任せたい | スタッフごとに、担当する企業だけを扱える権限を付けられる |
卸専用のストアにすることも、一般向けのストアに卸の注文を足すこともできます。今あるShopifyストアに卸を追加する場合、商品や在庫はそのまま共通で使えます。
プランで変わること
違いが出るのは、価格表の数、支払いの細かい条件、卸の取引先にだけ違う画面を見せられるかどうか、の3点です。
| Basic・Grow | Advanced | Shopify Plus | |
|---|---|---|---|
| 価格表(カタログ)の数 | 3つまで | 3つまで | 制限なし |
| 価格表を取引先(企業・拠点)に直接割り当てる | できない(販売先のまとまり経由) | できない(同左) | できる |
| 注文時の前受金・分割での支払い | できない | できない | できる |
| 卸の取引先にだけ違う内容・購入手続き画面を見せる | できない | できる | できる |
「価格表は3つまで」が意味すること
Shopifyでは、卸価格のセットを「カタログ」と呼びます。Basic から Advanced までは、使える価格表が全部で3つまでです。
たとえば「一般の卸先は定価の60%」「大口の卸先は55%」「代理店は50%」のように、掛け率が3段階なら3つの価格表に収まります。取引先が100社あっても、この3段階のどれかに当てはまれば問題ありません。
困るのは次のような場合です。
- 掛け率が4段階以上ある
- 「A社だけ、この商品はこの単価」という個別の約束がいくつもある
- 取引先ごとに、扱える商品を細かく変えている
Basic から Advanced でも、特定の取引先だけを対象にした販売先のまとまりをつくれば、その取引先専用の価格表は出せます。ただし、それも3つの上限に数えます。個別の約束が2社、3社と増えると、すぐに上限に届きます。
このどれかに当てはまると、Basic から Advanced では標準機能だけで再現しきれません。Shopify Plus にするか、卸売向けのアプリで補うか、価格の決め方そのものを3段階にまとめ直すか、のどれかを選ぶことになります。
もう一つ、注意したい仕様があります。1社に複数の価格表を割り当てると、同じ商品については一番安い価格が表示されます。 「この取引先は基本60%、ただし一部の商品だけ特別価格」を2つの価格表の組み合わせでつくろうとすると、意図しない価格が出ることがあります。価格表を組むときは、取引先ごとに見える価格を一覧にして確かめます。
価格表の整理のしかたは、別の記事で詳しく書いています。→ 取引先ごとに価格を変えるECサイトの作り方
なお、Basic から Advanced で卸の価格表を使うには、Shopifyの新しい「マーケット」機能(販売先ごとに設定を分ける仕組み)を使う必要があります。
どのプランを選ぶか — 3つの質問
プランは、次の3つの質問でほぼ決まります。
質問1:卸の価格表は何種類ありますか。
3種類までなら Basic から始められます。4種類以上、または取引先ごとの個別単価がある場合は、まず価格表を3段階にまとめられないかを考えます。まとめられないなら、Plus か卸売アプリの検討に進みます。
質問2:一般のお客さまと同じストアで売りますか。
同じストアで、卸の取引先にだけ違う案内や購入手続きの画面を見せたいなら Advanced 以上です。卸の取引先も一般のお客さまと同じ画面でよく、価格だけ変われば十分なら Basic・Grow で足ります。
質問3:前受金や分割での支払いが必要ですか。
別注品で「注文時に半額、納品時に残り」のような取り決めがあるなら、標準機能でできるのは Plus だけです。
よくある形に当てはめると、次のようになります。
| 今の卸の状態 | 向いているプラン |
|---|---|
| 取引先20社、卸価格は1種類、支払いは月末締め | Basic・Grow(締め日の扱いは「標準機能だけでは足りなくなりやすいこと」を参照) |
| 一般販売もしていて、卸の取引先には専用の案内を見せたい | Advanced |
| 取引先ごとに個別の単価表がある、別注で前受金をもらう | Shopify Plus、またはアプリ・個別開発との組み合わせ |
標準機能だけでは足りなくなりやすいこと
ShopifyのB2B機能は海外の卸売を基準につくられているので、日本の卸の商習慣とずれるところがあります。始める前に、次の3つは確かめておくと安心です。
月末締めの請求
日本の卸でよくある「月末締め・翌月末払い」で、1か月分の注文を1枚の請求書にまとめる形は、Shopifyの標準の支払条件にはありません。支払期限は注文ごとに「注文日から30日」のように付ける形です。特定の日付を期限にできるのは、下書き注文だけです。
そのため、月まとめの請求書は会計ソフト側でつくる、Shopifyでは注文ごとの期限で管理して入金を確認する、などの運用を先に決めておく必要があります。
月末締めや振込の入金確認、インボイスの請求書については、別の記事で詳しく書いています。→ 掛け払い・請求書払いを卸売ECでどう扱うか
銀行振込の入金確認
支払期限を付けた注文は、期限が来ても自動では代金が回収されません。取引先が自分のアカウントから支払うか、銀行振込で受けた入金を管理画面で注文に記録します。振込が中心の取引先が多い場合、誰がいつ入金を確認して記録するかを決めておかないと、未入金の注文が見えなくなります。
今のシステムや、FAXで注文する取引先
在庫や受注を別のシステムで管理している場合、Shopifyとつなぐには個別の設計が要ります。また、全部の取引先がすぐWeb注文に移ってくれるとは限りません。FAXや電話で届いた注文も、社内でShopifyの下書き注文に入力すれば、注文の管理を一か所にまとめられます。最初からすべてを切り替えようとせず、移ってくれる取引先から順に移ってもらうほうが現実的です。
今あるShopifyストアに卸を足す手順
一般向けのShopifyストアがすでにある場合、卸の注文を受けられるようになるまでの流れはおおむね次のとおりです。
- 取引先と価格を一覧にする。 取引先ごとの掛け率・個別単価・最低ロット・支払条件を表にまとめる。ここで価格表が何種類になるかがわかる
- プランを決める。 上の「どのプランを選ぶか」の3つの質問で決める
- 取引先を「企業」として登録する。 本社と店舗が分かれているなら拠点もつくる
- 価格表(カタログ)をつくる。 掛け率と、卸に出す商品を決める
- 注文のルールを決める。 ケース単位・最低ロット・数量別価格・支払期限
- 見せ方を決める。 ログインしていない人には卸価格が見えないことを確かめる
- 1社に試してもらう。 付き合いの長い取引先に1回注文してもらい、注文の受け取りから出荷・入金確認まで通しで回す
- ほかの取引先に案内する。 招待メールでアカウントをつくってもらう。しばらくはFAXや電話の注文も並行して受ける
いちばん時間がかかるのは、1の「取引先と価格を一覧にする」です。設定作業よりも、社内に散らばっている取り決めを集めるほうに手間がかかります。
費用の目安
Shopifyに払う月額は、最初に載せた表のとおりです。そのほか、決済手数料と、使う場合はアプリの月額がかかります。
制作を頼む場合、STORE LABOでは次の料金で受けています(いずれも税込)。
- 卸機能の追加 330,000円〜:今あるShopifyストアに、取引先向けの注文の仕組みを足す
- 卸専用サイトの制作 660,000円〜:卸の注文窓口を新しくつくる(商品登録20商品まで)
- 個別のつくり込み:お見積もり(システム連携、複雑な価格設定など)
制作費のほかに、Shopifyの利用料、有料のテーマ・アプリ、決済手数料、外部サービスの利用料、保守・運用の費用がかかります。かかるお金は、ご相談の段階で先に全部お見せします。
決済手数料や、例ごとの金額は、別の記事にまとめています。→ 卸売(BtoB)ECにかかるお金を先に全部見せます
まとめ
- Shopifyの卸売機能は Basic 以上で使える。Starter・Retail では使えない
- ログインした取引先にだけ卸価格を見せる、ケース単位、数量別単価、支払期限、下書き注文、再注文、発注番号は、どのプランでも使える
- 分かれ目は価格表の数。3種類までなら Basic〜Advanced、取引先ごとの個別単価や前受金があるなら Plus か別の仕組み
- 月末締めの請求、振込の入金確認、今のシステムとの連携は、標準機能だけでは足りないことが多い。始める前に運用を決めておく
「うちの価格表だと、どのプランで足りるか」は、取引先の数と価格の決め方を聞けばだいたい判断できます。今の受注のやり方(FAX・電話・メール、取引先の数、価格表の種類)を教えていただければ、どのプランで足りるか、何が標準機能で足りないかをお返事します。返信は1時間以内です。
確認したページ(2026年10月28日)
FAXや電話の注文を、どこまでWebに移せるか。
取引先の数と価格表の種類を教えていただければ、Shopifyのどのプランで足りるか、標準機能で足りない部分はどこかをお返事します。制作費も、Shopifyの利用料やアプリ代といった実費も、先にすべてお見せします。営業時間内のご相談には1時間以内に初回返信します。
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