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一般販売と卸売を1つのショップで両立するときの注意|卸価格が見えてしまう問題

一般販売と卸売の商品画面、梱包、鍵のイメージ

自社の商品を、一般のお客さまにはネットショップで売り、卸の取引先にはまとめて卸している。そのどちらも、1つのネットショップで受けられないか。メーカーや卸から、よく出る相談です。

商品も在庫も同じなので、1つにまとめられれば管理は楽になります。ただし、まとめ方を間違えると、卸価格や卸向けの条件が一般のお客さまに見えてしまうことがあります。卸価格が外に出ると、取引先との信用に関わります。

この記事では、一般販売と卸売を1つのショップで両立させるときの注意点を、Shopifyを例に説明します(2026年10月28日に公式ヘルプで確認)。

最初に決める:同じ店にするか、別の店にするか

Shopifyで一般販売と卸売を扱う方法は、大きく2つです。

同じ店で両方売る 卸専用の店を別につくる
管理画面 1つ 2つ(それぞれ設定が要る)
在庫 共通。一般用と卸用に分けて持つことはできない 別々
卸価格の見え方 ログインした卸の取引先にだけ見える 卸の取引先だけが使う店なので、一般の人は入れないようにできる
アプリ・外部サービス 1回の設定・支払いで済む 店ごとに設定・支払いが要る
Shopifyの月額 1店分 2店分
向いている形 同じ商品を、同じ人数で、同じ在庫から売る 卸の商品や担当者が一般販売と分かれている。卸の規模が大きい

Shopifyの公式ヘルプには、この選び方はあとから変えるのが簡単ではないと書かれています。切り替えると、取引先の登録や価格表の設定をほとんどやり直すことになるので、最初によく考えます。

多くの中小のメーカーや卸は、商品も在庫も担当者も共通なので、同じ店で両方売る形から始めるのが現実的です。この記事でも、以下は同じ店で両方売る場合の注意点を中心に書きます。

同じ店で売るときに起きやすいこと

卸価格は、ログインした取引先にだけ見える

同じ店で両方売る場合、卸の取引先は自分のアカウントでログインします。ログインすると、その取引先に割り当てた価格表(Shopifyでは「カタログ」)の価格が表示されます。ログインしていない人や一般のお客さまには、通常の価格が表示されます。

ここは仕組みとして分かれているので、設定どおりなら卸価格が一般に見えることはありません。設定したあとは、一般のお客さまとしてログインしない状態と、取引先としてログインした状態の両方で、価格を見比べて確かめます。

店の入口は、卸の取引先だけに絞れない

同じ店で両方売る場合、店そのものを「卸の取引先しか入れない」ようにはできません。一般のお客さまも同じ店を見ます。そのため、卸の取引先向けの案内(「卸のご注文はこちら」「最低ロットは〜」など)を、一般のお客さまにも見える場所に書くと、そのまま見えてしまいます。

卸の取引先にだけ違う案内や画面を見せたい場合は、Advanced以上のプランで、取引先向けに表示を変える設定を使います。

決済・配送の方法は、最初は両方に同じものが出る

意外に見落としやすいのがここです。Shopifyの公式ヘルプによると、同じ店で両方売る場合、決済方法と配送方法は、最初の状態では一般のお客さまにも卸の取引先にも同じものが表示されます。

たとえば卸向けに「請求書払い(銀行振込)」を用意すると、何もしなければ一般のお客さまの購入手続きにも出てくる可能性があります。卸向けだけに出したい決済・配送の方法がある場合は、アプリなどで出し分ける必要があります。

割引も、最初は両方に効く

同じように、割引も最初の状態では一般のお客さまと卸の取引先の両方に効きます。 一般向けのセールのつもりで出した割引コードが、卸価格にさらに上乗せで使われると、想定より安く売ることになります。

卸の取引先にだけ効く割引をつくる、逆に一般向けの割引を卸に効かせない、といった分け方は、卸の取引先を「卸の販売先(マーケット)」としてまとめて設定します。セールを出すときは、卸の価格にどう効くかを必ず確かめます。

在庫は共通

同じ店で両方売る場合、在庫は一般販売と卸売で共通です。「この在庫は卸の取引先の分として取っておく」という分け方は、Shopifyの標準機能ではできません。

卸の大口注文が入ると、一般向けの在庫が急に減ることがあります。逆も起きます。在庫が少ない商品は、卸の注文を下書きで受けてから確定する、卸向けの最大数量を決めておく、などの運用で調整します。

公開前に確かめる5つのこと

同じ店で両方売る形にしたら、公開前に次の5つを確かめます。

  1. ログインしない状態で、卸価格・卸向けの案内・卸向けの決済方法が見えないか
  2. 取引先としてログインした状態で、その取引先の価格になっているか(取引先ごとに1回ずつ)
  3. 一般向けの割引コードを、取引先としてログインした状態で使ったらどうなるか
  4. 配送料が、一般向けと卸向けで意図どおりになっているか
  5. 在庫が少ない商品に卸の大口注文が入ったとき、どう扱うかを決めてあるか

1つでも意図と違えば、公開前に直します。特に3の割引は、セールのたびに確かめる習慣にしておくと安心です。

卸の取引先との関係も考えておく

一般向けにネットで売るということは、卸の取引先の売り場と同じお客さまを取り合う可能性があるということです。一般向けの価格を卸の取引先の売値より安くすると、取引先からすれば面白くありません。

価格の付け方、商品の分け方、取引先への説明については、別の記事にまとめています。→ メーカーが自社でネット販売を始める前に、卸先と決めておくこと

まとめ

  • 一般販売と卸売を扱う方法は「同じ店で両方売る」と「卸専用の店を別につくる」の2つ。あとから変えるのは簡単ではないので最初に決める
  • 商品・在庫・担当者が共通なら、同じ店で両方売る形が現実的
  • 卸価格は、ログインした取引先にだけ見える。店の入口は絞れないので、卸向けの案内の書き場所に注意
  • 決済・配送の方法と割引は、最初は一般と卸の両方に同じものが出る・効く。卸向けの請求書払いや一般向けのセールは要注意
  • 在庫は共通。大口注文の扱いを決めておく
  • 公開前に、ログインしない状態と取引先としてログインした状態の両方で確かめる

「今の一般向けのショップに、卸を足しても大丈夫か」は、今の決済方法・配送の設定・割引の使い方を見せていただければ判断できます。どこを分ける必要があるかを、公開前に一緒に確かめます。価格表の組み方は、こちらの記事も参考にしてください。→ 取引先ごとに価格を変えるECサイトの作り方

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