名入れのタオル、ロゴ入りのノベルティ、別注の製品。こうした注文は、普通のネットショップのように「カートに入れて買う」が難しい商品です。枚数によって単価が変わり、刺繍やプリントの内容を聞く必要があり、デザインのデータも受け取らなければなりません。
そのため多くの製造元では、問い合わせフォームで要望を聞き、見積もりを出し、メールで何度かやりとりしてから注文、という流れになっています。お客さまからすると、金額がわかるまでに時間がかかります。製造元からすると、見積もりの対応に手間がかかります。
この記事では、名入れ・別注・数量別の単価がある注文をWebで受ける方法を整理し、STORE LABOが今治のタオル工場の注文サイトをShopifyでつくったときの仕組みを紹介します。
目次
受け方は3通り
| 受け方 | 中身 | 向いている注文 |
|---|---|---|
| 見積もりフォーム | 要望をフォームで受け、個別に見積もりを返す | 仕様が毎回大きく違う別注品。価格を表にできないもの |
| 料金表から直接注文 | 数量・サイズ・加工ごとの単価を表で見せ、その場で注文してもらう | 商品と加工の組み合わせが決まっていて、数量で単価が変わるもの |
| 見積もりシミュレーター | 条件を選ぶと金額がその場で出る。そのまま見積もり依頼や注文に進む | 組み合わせが多いが、計算のルールは決まっているもの |
大事なのは、全部を1つの方法で受けようとしないことです。よく出る組み合わせは料金表から直接注文してもらい、表にない数量や特殊な加工だけを見積もりフォームに回す。この分け方ができると、見積もり対応の件数が減り、お客さまも金額をすぐに知れます。
例:今治のタオル工場の、オリジナルタオルの注文サイト
STORE LABOでは、今治で自社工場を持つタオルの製造元から、オリジナルタオルの注文サイトの制作をお受けしました。名入れ刺繍の今治タオルと、プリントのタオルを、サイズ別に注文できるサイトです。ホテル・旅館・美容サロンなど、事業者からの注文も想定しています。プラットフォームはShopifyです。
以下は、構築した時点の仕組みです。
料金表から、その場でカートに入れられる
トップページに、サイズと枚数ごとの単価を並べた料金表を置きました。表の中から選ぶと、そのままカートに入ります。印刷の通販サイトでよく見る形です。枚数の段階は「100枚まで」「200枚まで」「300枚まで」の3つで、枚数が増えるほど1枚あたりの単価が下がります。
金額を知るために問い合わせる必要がなく、表を見ればその場で総額がわかります。
刺繍の文字を、注文画面で入力してもらう
名入れの刺繍は、商品ページの入力欄に文字を入れてもらいます。刺繍糸の色、タオル本体の色もその場で選べます。
入力には、刺繍として成り立つためのルールを組み込みました。
- 文字数:全角は8文字まで、ローマ字(半角)だけなら16文字まで。打ち始めた文字に合わせて上限の表示が切り替わる
- 上限を超えたとき:カートに入れる前に止め、理由と問い合わせの案内を出す
- 記号:記号や空白もそのまま刺繍され、1文字に数えることを常に表示する。かぎかっこなどを打つと、「そのまま刺繍されます」とその場で知らせる
装飾のつもりで打った括弧がそのまま刺繍される、といった行き違いを、注文の前に防ぐためです。
デザインのデータを、注文と一緒に受け取る
プリントの商品は、商品ページからデザインのデータをアップロードしてもらいます。受け付けるのはPDF・JPG・PNGです。メールでデータを送ってもらい、どの注文のデータかを突き合わせる手間がなくなります。
個包装などの追加料金を、自動で載せる
包装の方法も注文画面で選べます。
- 包装なし(追加料金なし)
- OPP袋の個包装(1枚につき10円)
- ギフトボックス(別途お見積もり)
OPP袋を選ぶと、タオルと同じ枚数分の包装代が自動でカートに入ります。カートで枚数を変えると包装代も追従し、タオルを削除すると包装代も消えます。包装代は通常の商品として扱うので、税・送料・決済の計算にもそのまま反映されます。
入力した内容を、注文確認メールにも載せる
お客さまが入力した刺繍の文字や、アップロードしたデータは、注文の各商品に添えて保存されます。この内容が、お客さまに届く注文確認メールにも載るように設定しました。お客さまは自分の入力内容をメールで確かめられ、製造元は注文ごとに刺繍の内容を見て製作に入れます。
アプリを使わずにつくった
ここまでの仕組みは、Shopifyのアプリを追加せず、テーマ(サイトの見た目と動きを決める部分)のカスタマイズでつくりました。そのため、毎月のアプリ代はかかりません。
つくる前に決めること
名入れ・別注の注文をWebで受けるときは、次のことを先に決めます。この例でも、制作の途中で何度か先方と確かめながら決めていきました。
- 価格の段階:数量の区切り(100枚・200枚…)と、区切りごとの単価。表にできない数量はどこから問い合わせにするか
- 加工の選択肢:刺繍・プリントなどの種類、色の数、加工できる商品の組み合わせ
- 入力のルール:文字数の上限、書体、記号の扱い。ルールを超えたときにどう案内するか
- データの受け取り方:受け付けるファイルの形式、データがない場合の扱い
- 追加料金:包装・特急・版代など、何をいくらで自動加算するか。何を「別途お見積もり」にするか
- 注文のあとの確認:仕上がりの確認(校正)をするか、誰がいつ連絡するか
1と5で「表にできるもの」と「見積もりに回すもの」を分けておくと、仕組みは小さくて済みます。
費用の考え方
料金表からの直接注文や、入力のルール、追加料金の自動加算は、アプリで実現する方法と、この例のようにテーマのカスタマイズで実現する方法があります。
- アプリ:つくるのは早いが、毎月のアプリ代がかかる。できることはアプリの機能の範囲まで
- テーマのカスタマイズ:最初の制作費はかかるが、毎月の費用は増えない。自社の注文ルールに合わせてつくれる
どちらが合うかは、注文のルールの複雑さと、何年使うかで変わります。卸売ECの費用の全体は、こちらにまとめています。→ 卸売(BtoB)ECにかかるお金を先に全部見せます
数量別の単価を、取引先ごとの卸価格と組み合わせる場合は、こちらも参考にしてください。→ 取引先ごとに価格を変えるECサイトの作り方
まとめ
- 名入れ・別注・数量別の単価がある注文は、見積もりフォーム・料金表から直接注文・見積もりシミュレーターを組み合わせて受ける
- よく出る組み合わせは料金表から直接注文、表にないものだけ見積もりに回すと、見積もり対応が減る
- 今治のタオル工場の例では、料金表からの直接カート投入、刺繍文字の入力ルール、データのアップロード、個包装代の自動加算、注文確認メールへの反映を、アプリを使わずにつくった
- つくる前に、価格の段階・加工の選択肢・入力のルール・データの受け取り方・追加料金・注文後の確認を決める
今の見積もりの出し方(価格表、よく出る数量、加工の種類)を見せていただければ、どこまでを料金表で直接受けられるか、どこを見積もりに残すかを一緒に整理します。
FAXや電話の注文を、どこまでWebに移せるか。
取引先の数と価格表の種類を教えていただければ、Shopifyのどのプランで足りるか、標準機能で足りない部分はどこかをお返事します。制作費も、Shopifyの利用料やアプリ代といった実費も、先にすべてお見せします。営業時間内のご相談には1時間以内に初回返信します。
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